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日々触れた芸術作品についての感想ブログです!不定期更新

【Netflixドラマ】『アンブレラ・アカデミー』シーズン1 あらすじ・感想

様々なオリジナル作品を配信している【Netflix

もちろん、一般公開されている作品も数多く配信されているのですが、

今回はNetflixオリジナルドラマの中から、

『アンブレラ・アカデミー』という作品をご紹介したいと思います!

 

 

1.『アンブレラ・アカデミー』の概要

 『アンブレラ・アカデミー』は2019年2月にNetflixで配信がスタートした、

Netflixオリジナルの連続ドラマです!

 

原作は『The Umbrella Academy』というコミックで

いわゆる「アメコミ」と呼ばれるもの。

原作もアメリカでは人気の作品だそうです!

こちらのコミック、なんとミュージシャンの方が共同著者の一人!

なんだかそれだけですごい作品のにおいがしますが、

そのミュージシャンの方とは、

マイ・ケミカル・ロマンスというバンドのボーカル、ジェラルド・ウェイという方です^^

もともと美術学の学士号をお持ちとのことで、

そちらの方面の才能もおありなのですね……。

大変羨ましい限りです。

 

また、この『アンブレラ・アカデミー』という作品は、

Netflixオリジナルということもあり、

現時点でNetflixでしか見る手段がありません。

調べたのですが、現時点ではDVDも発売されていない様子。

ただ、Netflixの2019年の年間視聴回数ランキングで

総合9位、

ドラマ部門において3位という

大変人気の作品となっております^^

 

現時点で、シーズン2まで配信されており、

シリーズ1・2、各全10話、合計20話が配信されています。

1話が60分弱となっております^^

1話完結型ではありませんが、

シーズン1・2通して、かなり楽しめる作品です!

 

メインキャストは、

エレン・ペイジ(ヴァーニャ役……バイオリニスト。アカデミーの中で唯一普通の人)

・トム・ホッパー(ルーサー役……月に住んでいた。怪力。)

・デイビット・カスタニェーダ(ディエゴ役……武器を自在に操る。)

・エミー・レイヴァー・ランプマン(アリスン役……言葉で人を操ることができる。)

・ロバート・シーハン(クラウス役……霊と対話ができる。)

・エイダン・ギャラガー(No.5役……時間・空間を移動できる。様々な事情から、姿はティーンエイジャー。)

ジャスティン・H・ミン(ベン役……作中ではすでに亡くなっている。存命中はクラーケンを出現させる能力を駆使していた。)

の7名です。

日本ではあまり有名でない方も多いですが、

それでもかなり魅力的なキャストの皆さんですので、

ぜひ日本でも人気になればいいなと思っています^^

メインキャストのほかの出演者の方も

皆様かなりの個性派・実力派ぞろい、です!

 

シーズン2まで配信が終わっていますが、

今回はまずシーズン1の魅力について書きたいと思います^^

 

2.『アンブレラ・アカデミー』シーズン1のあらすじ

 まずは、公開されている予告をご紹介^^

youtu.be

 

予告をご覧になった方はお気づきかと思われますが、

「ヒーローもの」というジャンルです。

しかし、侮るなかれ。

普通のヒーローものとは一線を画す作品となっております。

最近ではアメリカのヒーローもののストーリーの種類やキャラクターもたくさんありますが、

そんな中でもこの『アンブレラ・アカデミー』、

「ヒーローもの」とひとくくりにしてしまうのはちょっともったいない。

SFの要素が強く、

アクションはもちろんのこと、

コメディとしての要素も強いし、

ヒューマンドラマ、ファミリードラマとしての要素も強い。

軽快だと思っていたら、

シリアスになって考えさせられる。

かなり盛り沢山な内容なのに、

それぞれが破綻せずに、

うまくバランスを保ってストーリーが展開していくのは

見ていてとても楽しいです^^

文章としてのあらすじはこちら^^

1989年10月1日。その日の朝には妊娠していなかった女性たちが、1日のうちで出産する。その子たちは資産家の養子として集められ、「アンブレラ・アカデミー」としてヒーローに育てられた。悪と戦うヒーローとして活躍していた彼らだったが、次第に疎遠となり、家族はバラバラになる。養父の死により再び集まったアカデミーのメンバーだったが、そこにある日突然行方不明になっていたNo.5が空から降ってきて、「世界は滅亡する。それを阻止する必要がある」と言う。

 

3.『アンブレラ・アカデミー』シーズン1の感想

私はあまりヒーローものと言ったジャンルは見ないのですが、

メインビジュアルに惹かれて見たのがきっかけです。

この『アンブレラ・アカデミー』を完全に甘く見ていました!

要するに「ダダはまり」してしまいました!

私の中で、何がヒットしたかというと、

「完全無欠のヒーローたちではないところ」です。

ただ単に勧善懲悪を説くような作品ではない。

それぞれのキャラクターが個性的で、魅力的なのですが、

その魅力がどこにあるかと言えば、

完璧じゃないところ。

人間だれしも、

良いところと悪いところ、

長けているところとダメダメなところを持っていると思うのですが、

ヒーローたちであっても同じなんです。

というか、彼らは一般的に見ればダメ人間の類だったりするんですね。

そこがとても愛おしい。

家族の問題やトラウマ、孤独感。

人間が持つ弱さ。

その中でもがき苦しみながら、

何かを得よう、現状を変えていこうと動いていく彼らが

不器用で泥臭いけれど、とてもかっこ良い。

個人的には、クラウスがとても大好きです!

 

そんなドラマの中で、

世界の滅亡を阻止できるのか、というのも重要な見どころなのですが、

私が一番好きなシーンは

何気なくルーサーが昔のレコードをかけて、

漏れ聞こえてきた音から、

兄弟6人がそれぞれの場所で自然と踊り出す、というシーン。

この場面で流れている曲はティファニーの『I Think We're Alone Now』。

80年代にアメリカでめちゃくちゃ流行った曲です!

今は精神的にも物理的にも離れ離れになってしまった家族ですが、

同じ時を過ごしたからこそ、同じ曲で自然と体が動いてしまう、

つまり根っこはきちんと繋がっているよ、というシーンなんですね。

それがすごく可愛らしくて素敵なシーンなんです^^

ぜひそのシーンも楽しみにご覧いただけたらと思います^^

 

www.netflix.com

 

『アンブレラ・アカデミー』のシーズン2に関する記事はこちら↓

tomoe-reading.hatenadiary.jp

映画『ブルース・ブラザーズ』あらすじ・感想

今回は、往年の人気映画作品ブルース・ブラザーズをご紹介いたします!

 

 

1.『ブルース・ブラザーズ』の概要・あらすじ

ブルース・ブラザーズ』は

1980年に公開されたアメリカの映画です。

黒いスーツに黒いハット、サングラス、という出で立ちは

色々な場所でオマージュされているので、

どこかでご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか^^

実は、この出で立ち。

メン・イン・ブラック』という有名な映画の

主人公二人の出で立ちにもオマージュされています^^

元ネタが『ブルース・ブラザーズ』なんですねぇ。

 

この『ブルース・ブラザーズ』という映画ですが、

映画の製作に先立った元ネタというのがあるんです。

それが、今現在でも続く、

アメリカの超長寿テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』というコント番組で

ジョン・ベルーシダン・エイクロイドという二人のコメディアンが担当していた音楽コーナー。

キャラは映画名と同じく、「ブルース・ブラザーズ」。

ライブ形式でブラックミュージックを番組の中で披露するんですね。

実はこのキャラがものすごく人気だったそう。

この二人が「ブルース・ブラザーズ」名義で発売したアルバムが

当時、すでに時代遅れとされていたジャンルにもかかわらず、

全米1位を獲得!

アメリカ各地で行われた「ブルース・ブラザーズ・バンド」のライブは、

大盛況だったようです^^

 

映画製作までにこのような活動を行って、

すでに人気も絶頂だった「ブルース・ブラザーズ」。

満を持して、映画製作と相成ったようです。

そして、もともとがコントから生まれたキャラであることから、

ストーリー重視の映画ではなく、

完全なるエンターテイメントとして

何も考えずに楽しめる映画となっています!

 

念のため、あらすじはこちら。

ジェイク(ジョン・ベルーシ)は強盗の罪で服役していたが、出所を迎えた。出所を待っていた弟・エルウッド(ダン・エイクロイド) と共に、二人が育った孤児院を訪れるが、その孤児院は資金難のため、立ち退きを迫られていることを知る。何とかその資金を得る手立てがないかと立ち寄った教会で、牧師(ジェームズ・ブラウン)のゴスペルを聴き、バンドを再結成することを思いつく。

 

2.『ブルース・ブラザーズ』の出演者

先ほども書いたように、

主人公は

ジョン・ベルーシ(ふくよかな方)

ダン・エイクロイド(背が高い方)

の二人。どちらもコメディアンです。

ダン・エイクロイドは、

ブルース・ブラザーズ』の他に、

『ゴースト・バスターズ』の脚本を担当、

ゴースト・バスターズの一人レイモンド(レイ)役でも出演されているので、

ご存知の方も多いのではないでしょうか^^

ジョン・ベルーシはコメディアンとしても俳優としても人気でしたが、

薬物の過剰摂取により、

映画公開の2年後の1982年に33歳の若さで亡くなりました。

 

そして、この映画の特筆すべき点は、

偉大なアーティストが出演されているところ!

ジェームズ・ブラウン

レイ・チャールズ

アレサ・フランクリン

などが登場。

素敵な音楽を披露されています^^

他にも、

スターウォーズ』のレイヤ姫として有名なキャリー・フィッシャー

ミニスカの女王と言われたツィギーも登場、

なぜかスティーブン・スピルバーグも登場します!笑

この無駄に豪華な配役だけでも、

ザ・アメリカのエンタメ映画

って感じですよね。笑

 

3.『ブルース・ブラザーズ』の感想 

初めてこの映画を観たのは

約20年前。

私が中学生の時でした。

この映画を初めて観た時の衝撃と言ったら!

とにかく音楽がかっこいい。

ロックンロール、ソウル、ファンク、カントリー、ブルース、ゴスペル……。

体が動き出すような音楽ばかり。

そして超一流の音楽家たちの音楽。

もう、かっこよくないわけがない。

私の音楽好きの原点がこの映画と言っても過言ではありません。

映画公開当時、ブルースブラザーズが

かなり人気だった、というのもうなずけます。

私はこの映画のおかげで、

ジェームズ・ブラウンレイ・チャールズが大好きになり、

エルビスの『監獄ロック』が超絶好きになりました。

 

そして、何より。

ストーリーが音楽を邪魔しないのもいい。

とんでもなく馬鹿げた話で、

めちゃくちゃお金がかかっているような映像ばかりなんですが(笑)

それが音楽の素晴らしさとうまくミックスしているんですね。

ほどよく力が抜けて、

音楽を存分に楽しめるのと同時に、

心底くだらない。

中身がないようで、お腹いっぱいになる。

良い意味で本物のB級映画です!

 

何気なく時間を潰したい時、

ちょっと元気が出ない時におすすめの映画です^^

皆で素敵な音楽を聴いて、踊りましょう!

 

 ↓データでご覧の方はこちら^^

Blu-rayでお楽しみの方はこちら^^

 

↓ライブ音源も含むCDはこちら

↓映画のサントラはこちら

 

おすすめ動画を紹介!【s**t kingz編】

今回は、大好きなダンサーをご紹介いたします!

今回ご紹介するのは、

s**t kingz(シット キングス)という日本人のダンスグループです^^

 

 

1.s**t kingzについて

ご存知の方も多いかと思います^^

s**t kingz(シットキングス、略してシッキン)

4人組のダンスパフォーマンスグループ。

 

メンバーは

・shojiさん

kazukiさん

・NOPPOさん

・oguriさん

の4名です!

 

めちゃイケのオファーシリーズ・三浦大知さんのバックダンサーの回に、

三浦大知さんのバックダンサーとして出演されていたのはみなさんご存知ですか??^^

私がシッキンさんを知ったのも、

めちゃイケのオファーシリーズがきっかけでした。

三浦大知さんの回には、他にも素敵ですごいダンサーさん達が

たくさん出ていらっしゃったので、

他の記事でまた改めてご紹介できたらと思います!)

 

そして、三浦大知さんの「I'm Here」という曲では

振付、PVでのパフォーマンスもされています!

↓三浦代知さんの「I'm Here」のPVはこちら

 

グループとしての経歴は、

2010年にアメリカのダンスコンテストに出場。

そのコンテストで日本人初優勝!

そして、翌年も同大会に参加し、2年連続優勝!

すごくないですか??

世界でも認められたパフォーマンスグループなんです^ ^

 

メンバーそれぞれでは、

三浦大知さんはじめ

SMAP

・Hey!Say!JUMP

・BIGBAN

・AAA

・Nissy

など、有名アーティストの振付をされており、

振付師としても大活躍されています^ ^

 

↓s**t kingz(シットキングス)の公式HPはこちら!

shitkingz.jp

2.s**t kingz おすすめ動画

そんな大活躍中のs**t kingzさんの動画を

厳選してご紹介いたします^^

 

マイケル・ジャクソンの曲

メンバーのkazukiさんの振付なんですが……、

ものすごくスタイリッシュ!

マイケルのダンスとはまた違ったかっこよさがある!

また、シッキンのすごさといえば、

シンクロ力ですね。

細かい動きが多い振付なのに、

しっかり細かいところまでシンクロしているのも魅力。

見ていて引き込まれるダンスです^^ 

 

②Uptown Funkのカバーバージョン

こちらはoguriさんの振付です^^

有名なマーク・ロンソンとブルーノ・マーズの「Uptown Funk」の

カバーバージョンを基にされています。

「Uptown Funk」はかなりノリのいい曲で、

原曲そのものを使われているダンサーさんも多いのですが、

かなり落ち着いたテンポのこのバージョンを使うあたり、

センスの塊!

原曲のイメージも踏襲した振付になっていて、

よりセクシーさ・大人っぽさが醸し出ているダンスです!

 

星野源さん「うちで踊ろう」コラボバージョン

コロナによる外出自粛要請がなされた初期に、

星野源さんがInstagramで「うちで踊ろう」という楽曲を発表されました。

アーティストの皆様や一般の方に対して、

離れていてもつながれるコンテンツとして、

そして、

家にいれる方は家の中で、

さまざまな理由で家にいられない人も心の中で、

自由に踊っていようという意図で作られた楽曲です。

その曲に本当に様々な、ジャンルを超えた方々がコラボをして

本当に毎日見ていて楽しかった!

その中で、三浦大知さんが振付をつけてInstagramで投稿。

その振付に対して、

シッキンさんが更にコラボをした形になるのが、この動画です!

シッキンさんが作られた独自の振りのものもあるのですが、

こちらの振付があまりにも心に刺さったので、

今回はこちらを取り上げさせていただきました^^

最後のハートが可愛い!

 

④Singo Sekiguchiさん「Stay Home」

楽曲の素晴らしさも相まって、

こちらを皆様にご紹介したいとずっと思ってました!

爽やかで、愛が溢れる楽曲に、

シッキンさんのおしゃれなダンス。

こんな素敵な曲とダンスがあれば

Stay Homeも楽しい!と思える動画です^^

少し自粛に疲れた方にも見ていただきたいです。

一緒に踊りましょう^^

 

3.s**t kingz おまけ動画

おすすめ動画でご紹介した動画は、

短めの動画で手軽にお楽しみいただける長さのものをご紹介いたしました!

以下、おまけで二本、動画をご紹介いたします^ ^

 

①「Be One 僕らにできること」ダンサー大集合バージョン

UTAさんというアーティストさんの呼びかけで、

豪華アーティストの方のコラボによって生まれた「Be One」という曲。

先日、こちらのPVでダンサーバージョンがアップされました!

素敵な曲で、

なおかつダンサーも豪華。

シッキンさんはトップから登場されます!

是非ご覧ください^ ^

 

②The Library 期間限定フル配信

2020年5月31日までの期間限定で

s**t kingzの単独公演「The Library」の映像が

フルで公式チャンネルから視聴できるようになってます!

太っ腹です。

今の時期、いろんなアーティストの方が太っ腹で

ライブ映像などを提供してくれています。

ありがたい……。

 

こちらも載せておきますので、

ご興味のある方はご覧ください^^

※2時間弱ありますので、wifi接続して見てくださいね^^

 

↓s**t kingzの単独公演のBlu-rayはこちら

原田マハ『太陽の棘』あらすじ・感想

芸術作品に関する作品を多く書いていらっしゃる、原田マハさん。

今回は、原田マハさんの『太陽の棘』をご紹介いたします!

 

 

1.原田マハさんについて

原田マハさんについては、

こちらの記事で詳しく書いていますので、

興味のある方はこちらをご一読ください^^

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2.『太陽の棘』のあらすじ

まずは『太陽の棘』のあらすじです^^

終戦後の沖縄。米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす集落––––ニシムイ美術村に行きつく。警戒心を抱く画家たちだったが、自らもアートを愛するエドは、言葉、文化、何よりも立場の壁を越え、彼らと交流を深める。だがそんな美しい日々に影が忍び寄る––––。実話をもとにした感動作。(本書裏表紙より抜粋) 

 

今回の作品は沖縄が舞台です。

芸術作品といえば、欧米の作家が中心に語られることが多く、

日本人芸術家はなかなかスポットライトを浴びることがありません。

それが、今回は沖縄が舞台であり、

現実にあった「美術村」の日本人画家たちということで、

原田マハさんがこの作品にかけた想いの強さを感じることができます。

 

なぜかといえば、

この沖縄の「ニシムイ美術村」というのは、

相当に芸術を勉強した方でないと知られることがないところ。

場所でいうと、

現在の沖縄県那覇市首里儀保町。

首里城のほど近くですね^^

 

沖縄などでニシムイの画家たちの展覧会があったようですし、

常設で展示されているところはありますが、

本土での展示は大々的に行われていないのではないでしょうか。

私も、この作品を読むまで、

「ニシムイ美術村」という存在も、

戦後の沖縄の様子も知りませんでした。

ちなみにこのニシムイ美術村の画家たちの活動もあり、

戦後沖縄において、芸術復興の運動が高まったようです^^

 

その方たちに光を当てた原田マハさんは、

本当に芸術やそれをめぐる人々の熱い想いを大事にされているんだな、

と実感しました。

 

また、沖縄というのは、

皆様ご存知のように、

戦争で大打撃を受けた土地であり、

戦後には米軍により統治されていた土地です。

でも、その内情はあまり語られません。

フィクションではあるものの、

沖縄の人たちの当時の姿を少しでも知るきっかけとなる作品となっております^^

 

3.『太陽の棘』の感想

結論から申し上げましょう。

大号泣いたしました。

原田マハさんの作品には、

大号泣させられることが多々あるのですが、

『たゆたえども沈まず』の次ぐらいに号泣したと言っても過言ではありません。

 

舞台が沖縄ということで、

明るい、前向きな気分になる、気持ち良さそうな風が吹くような描写が多く、

読んでいて自然と沖縄にいる気分になります。

でも、そんな風景の描写が

根本的に人間は完全には分かり合えないという事実を

対照的にまざまざと浮かび上がらせます。

本気で助けたいと思っても、

願っても、

手を差し伸べても、

本当に助けになるかどうかはわからない。

分かり合えたと思った瞬間、

分からなくなる。

そんな、人間としてどうしようもない、悔しい状況が描かれます。

あんなに信じていたのに、

分かりあえたと思っていたのに、

本当の友だと思っていたのに。

また、日本人として、

いや一人の人間として、

見るに堪えない、知りたくはない場面も描かれています。

戦争に負けるとはそういうこと。

また、弱い立場に置かれるとはそういうことなんだと、

実感させられます。

 

しかし、そんな中でも、

何かを信じる心や、思う心は変わりないんだなとも思います。

人間はいつも同じ状態ではいられない。

本当に分かり合えたと思っていても、

どこかで疑う気持ちもあったり、

完全に信じきれなかったり。

でも、本気で一度分かり合えたもの、信じ合えた縁は、

完全に切れることはない。

自分がその想いを大事に思っていれば、

それだけで生きる糧になる

 

悔しく、悲しい出来事もあるけれど、

また人間は完全には理解できないものだけれど、

だからこそ、誰かと特別な絆を結ぶことは尊く、

人生に光を与えてくれるものだな、と思いました。

 

また、私は表紙の絵が大好きです。

この表紙の絵に魅せられて、

この本を手に取ったと言っても過言ではないぐらい、

素敵な絵です。

是非「ニシムイ美術村」の画家が描いた絵を、想いを

手に取っていただけると私も嬉しいです^^

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原田マハさんの他の作品紹介はこちら

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原田マハ『デトロイト美術館の奇跡』あらすじ・感想

美術作品に関する作品を多く書かれている原田マハさん。

今回は

原田マハさんの『デトロイト美術館の奇跡』という作品をご紹介いたします!

 

 

1.原田マハさんについて

原田マハさんについては、

こちらの記事で詳しく書かせていただいていますので、

興味のある方はご一読ください^^

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2.『デトロイト美術館の奇跡』のあらすじ

まずは、『デトロイト美術館の奇跡』のあらすじをどうぞ!

ピカソゴッホマティスにモネ、そしてセザンヌ。市美術館の珠玉のコレクションに、売却の危機が訪れた。市の財政破綻のためだった。守るべきは市民の生活か、それとも市民の誇りか。全米で論争が過熱する中、一人の老人の情熱と一歩が大きなうねりを生み、世界の色を変えてゆく––––。 大切な友人や恋人、家族を想うように、アートを愛するすべての人へ贈る、実話を基に描かれた感動の物語。(本書裏表紙より抜粋)

 

この作品の題材になっている「デトロイト美術館」とは、

アメリカ・デトロイト市にある、

約6万点以上の美術品を所蔵し、

年間約70万人が訪れる人気の美術館です。

6万点以上の美術作品を所蔵するというのはものすごいことで、

日本の国立西洋美術館で約6000点。

年間200万人以上が訪れるMoMAニューヨーク近代美術館)で約10万点です。

美術品を買うにはかなりの財源が必要ですし、

管理・維持をするためにも有能な人員が必要です。

それだけ優れた美術館とも言えるでしょう^^

 

あらすじにもあるように、

2013年にデトロイト市の財政破綻に陥ります。

デトロイトといえば、

「自動車の街」ですよね。

しかし、時の流れとともに、

自動車産業も昔ほど勢いはなくなり、

工場で働く低収入層が多くなり、

失業率・犯罪率が上昇、暴動などが起こったりしていました。

結果、市の財政が破綻。

そこで目をつけられたのが、

デトロイト美術館が所蔵する名画の数々。

ニュースをご覧になる方は、

「◯◯の作品が何十億円で落札」など聞かれたこともあるかと思います。

有名な画家や人気の画家の作品には

億単位の価格が付けられることがあり得るのです。

美術作品が唯一の”資源”と思ったのも無理はないかもしれません。

 

そんな実話を基に書かれたのが、

今回ご紹介する『デトロイト美術館の奇跡』という作品です。

物語は、デトロイト美術館のキュレターとデトロイト市民の男性の視点で

進んでいきます。

合間合間に作品の写真やデトロイト美術館の写真が挿入されていて、

身近に感じるのも、この作品の良い点です!

 

3.『デトロイト美術館の奇跡』の感想

この作品で感じたことは、

芸術作品が果たす役割とは何か、ということです。

一般的に、

美術館は敷居が高くて、

わかる人にしかわからない、

行くのも勇気がいる場所、

という感覚が強いのではないかと思います。

でも、決してそんなことはなくて。

見る人が自由に楽しむものだと思うんです。

「何億円の絵画だからすごい」

「誰それが描いたものだからすごい」

のではなく、

「なんかわからないけど、綺麗」

「なんかよくわかんないけど、この絵好き」

みたいなことでOKだと思うんですよ。

 

この作品の中で

「この絵は私の友達」という言葉が出てきます。

「友達に会いに行ってくる」と言って、美術館に行く。

その感覚がとても心地よかった。

私が美術館に行く理由は、

「友達」に会いに行ってたんだ、と合点がいきました。

喋ってくれるわけではないけれど、

心を駆り立てられる作品がある。

はっきりとした言葉じゃなくても、

語りかけてくる作品がある。

そうか、みんな友達だったんだと。

 

 

お金的な価値ではなく、

多くの人の友達、つまり心のよりどころになっているものを守るために、

多くの人たちが心を一つにして動いていく。

この純粋な気持ちに、

心が揺り動かされました。

ただ単に歴史的な背景があるから大事だとか、

高価なものだから大事なわけではなく、

愛されるべき理由があるから大事なんだと。

そんな気持ちで世界が動いていくのは

とても気持ちが良い。

多くのことがそう単純には進まないだろうけど、

少しでも純粋な思いが届く世の中になれば良いなと思いました。

 

今の世の中に必要な一冊だと思います^^

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原田マハさんの他の作品の記事はこちらからどうぞ

 

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サマセット・モーム『月と六ペンス』あらすじ・感想

今回は名作として名高い、

サマセット・モームの『月と六ペンス』をご紹介したいと思います!

 

 

 

1.サマセット・モームについて

サマセット・モームは、イギリス出身の作家です。

実はこのサマセット・モーム

かなり特異な経歴を歩まれています。

 

実は、イギリスの元スパイ(諜報員)だったのです!

第一次大戦中の話ですので、

おそらくヨーロッパにはそういう方もたくさんいらっしゃったかと思いますが、

現代で「元スパイです。」って言われると、

かなりドキリとしますよね。笑

スパイでの経験を基にした作品も書かれていますので、

興味のある方は是非とも読んでいただければと思います^^

 

また現代では珍しいことでないですが、

同性愛者であったそうです。

イギリスでは第二次世界大戦後まで同性愛を禁じる法律がありましたので、

当時の状況の中で

公には同性愛者であることをカミングアウトされていないと思うのですが、

サマセット・モームが同性愛者であったことは

割と有名な話として語り継がれています。

 

作風としては、

ちょっとシニカルな部分もあるけれど、

ストーリーの構成が優れている作家さんだと思います!

「面白い作品でなけば、小説じゃない」というのが

サマセット・モームの信念です。

「面白い」という意味は色々な意味があるかと思いますが、

笑いが起こる、という意味ではなく、

読んでいて興味がわく、といった感じでしょうか。

激しい感情表現や事件などがあるわけではないですが、

冷静な描写の中にも、豊かな感情が読み取れるというか。

これこそ「ドラマだな」と思える小説を書く印象があります。

 

2.『月と六ペンス』のあらすじ

まず、『月と六ペンス』のあらすじをご紹介いたします。

ある夕食会でであった、冴えない男ストリックランド。ロンドンで、仕事、家庭と何不自由ない暮らしを送っていた彼がある日、忽然と行方をくらませたという。パリで再会した彼の口から真相を聞いたとき、私は耳を疑った。四十をすぎた男が、すべてを捨てて挑んだこととは––––。ある天才画家の情熱の生涯を描き、正気と狂気が混在する人間の本質に迫る、歴史的大ベストセラー(新潮文庫裏表紙より抜粋)

 

この『月と六ペンス』という小説は、

比較的、サマセット・モームが有名になり始めた段階で書かれた小説です。

物語に関しては、

画家・ゴーギャンの生涯に基に描かれたと言われています。

 

ゴーギャンと同時期の有名な画家は

ゴッホです^^

二人は一時期共同生活をしていました。

ゴッホの有名な『ゴッホの寝室』という絵は、

ゴーギャンを迎える準備をしていたときに

ワクワクした気持ちで描かれた絵だそうです^^

 

そして、ゴッホの有名な耳切事件があった直後、

ゴーギャンゴッホの元を離れました。

 

ゴッホに関する小説は、↓こちらでご紹介しておりますので、

興味のある方はこちらをどうぞ!

tomoe-reading.hatenadiary.jp

 

ゴッホゴーギャンに共通していることといえば、

同時期の流行している画風にとらわれることなく、

自分にしか表現できないもの、

「真実」を表現しようとしたが、

ご存命中には大きく評価されることがなかったという点。

日本ではゴッホの方が人気がありますが、

ゴーギャンの絵からにじみ出る情熱的なタッチや

南国を連想される多彩な色彩は、

ゴッホとはまた違った魅力があります。

 

『月と六ペンス』では、

ゴーギャンをモデルにしたストリックランドという主人公が亡くなった後、

友人がストリックランドのことを振り返りながら、

彼の足跡をたどって、最後の地を訪れ、

彼の本当の伝記を書いていく、という形で話が進めれらていきます。

 

3.『月と六ペンス』の感想

何気なく読んだ一冊でした。

特に意識することもなく読んだ本だったのですが……。

淡々とした文章の中に、

熱い感情があり、

豊かな気持ちの描写や

格言があり、

とても満たされた気持ちになりました。

 

ゴーギャンをモデルにした創作ですが、

主人公の志や不器用さ、

「目には見えない、真実」を探求することの苦しさ。

 

生きていくためにお金は必要だけれど、

それが本当に全てなのか。

豊かに見えるけれど、

それは本当に自分が求めているものなのか。

側から見れば、物質的に豊かには見えないけれど、

本当に豊かではないのか。

など、

目に見えるものだけが全てではなく、

他人の考えや世間体ではなく、

自分はどうやって生きていくか

自分は何を求めているのか

を考えさせられました。

 

また、ある一人の人物に関して、

様々な捉え方や印象があることが

とても印象的でした。

ある人について、自分が見ているのはたった一面にすぎない。

どんな面であっても、

その人に違いないし、

また、その人そのものではない。

ちょっと逆説的ですが、

その人の本質を見たい、知りたいと思ったとき、

その人にしっかりと向き合わなければなりません。

表面上の印象だけで判断してしまうと、

その人の面白い、興味深い一面を見失ってしまうかもしれません。

誰かと向き合うのは、

とても体力のいることです。

それでも、

私はきちんと向き合っていきたい。

相手のことをきちんと見ている人間でありたいと思いました。

 

言葉ではうまく表現できませんが、

何かとても大事なものを教えてくれる、

そんな小説です^^

 

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西加奈子『きいろいゾウ』あらすじ・感想

たゆたうような、独特の世界観の作品を書き続けておられる西加奈子さん。

今回は、西加奈子さんの『きいろいゾウをご紹介いたします!

 

 

 

1.西加奈子さんについて

西加奈子さんはイラン・テヘラン生まれ!

その後大阪で育ち、関西大学をご卒業後、

ライターとして勤務。

その後、持ち込み原稿である『あおい』で作家デビュー。

 

西加奈子さんの作品は

ご出身が関西であることからか、

作品の舞台が関西、もしくは登場人物が関西弁を使うことが多いです。

西加奈子さんの作品を読んだ当時、

関西弁が文章として扱われている作品を読んだことがなかったので、

大変新鮮で、斬新に思えました!

今でこそ、たくさんの作品が方言を多用しているのを目にしますが、

その衝撃も相まって、

西加奈子さんの作品にのめり込むきっかけとなりました^^

 

作風としては、

ちょっと変わった世界を用いられることが多いです。

マイノリティに目を向けていらっしゃるというか、

世間から少しはみ出してしまった、

ちょっと不器用な方々の世界を描かれていることが多く、

少し不思議な世界を作り上げています。

日常とかけ離れていそうで、

でも世界のどこかには転がっていそうな、

遠い世界のような、

身近な世界のような、

不思議な感覚の空間を作り出しておられます。

 

2.『きいろいゾウ』のあらすじ

まずは『きいろいゾウ』のあらすじをご紹介いたします^^

夫の名は無辜歩(むこ・あゆむ)、妻の名は妻利愛子(つまり・あいこ)。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会からやってきた若夫婦が、田舎暮らしを始める。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりゆっくりとその年の冬まで進んでいき、「ある出来事」を機にムコがツマを残して東京へ向かう。それは背中の大きな鳥に纏わる出来事に導かれてのものだった。(同書小学館HPより抜粋https://www.shogakukan.co.jp/books/09408251

 

2006年に、西加奈子さんの第3作目の小説として出版されました。

そして、2013年には、宮崎あおいさん・向井理さん主演で映画化されました^^

 

主人公の「ツマ」はちょっと不思議な世界を体感できる体質。

あらすじにもあるように、

動植物の声が聞こえていて、

会話をしたりしています。

「ムコさん」にはその能力はないものの、

「ツマ」が一般的には体感できない世界を感じていることをなんとなくわかっています。

ちょっと変わった空気感が流れる、小さな夫婦のつつましい毎日と

その絆が深まっていく様が描かれています。

 

3.『きいろいゾウ』の感想

この作品を私が読んだのは、

出版当時ですのでもう14年も前!

しかし、ことあるごとに読み返したくなる作品で、

何度も何度も繰り返し読みました。

それはなぜかと言えば、

主人公の「ツマ」と「ムコさん」の作り出す世界がすごく好きで、

切なくなる場面もあるものの、

幸せな気分になれる作品だから。

いつも幸せな涙を流させてくれます^^

 

確かに、一般的な夫婦の日常ではないかもしれないですが、

時間の流れとしては

淡々としていて、

衝撃的な展開があるわけではありません。

でも、

人生とはそんな出来事の積み重ねで、

淡々とした日々の中に、

小さな幸せや、

小さな歪みが重なっているだけなんだな、

と実感します。

ちょっとしたことで気まずくなったり、

ちょっとしたことで元に戻ったりする。

でも乗り越えなければいけない、

向かい合わないといけない、

決着をつけないといけない場面が

たまに現れる。

そんな当たり前の日常が描かれていて、

何が自分にとって大事か、

自分が求めているものは何なのか、

を考えさせられます。

大事にしたいと思えるものは、

きっとそんなに多くないはずで、

自分が大事なものにきちんと大事に、向き合っていく様が

不器用な自分にとって、

日々を前向きに過ごしていく後押しをしてくれる作品です。

不器用だって良いじゃない。

大きな出来事が起こらなくたって良いじゃない。

小さな大事なものを手に持って生きていけば良いじゃない。

そう思わせてくれます。

 

また、登場人物の方言が軽快な調子を作っているので、

とても読みやすく身近に感じてのめりこめる、というのも

西加奈子さんの作品の特徴で、

日々のやりとりにほっこりします^^

 

日常をちょっと抜け出して、

他のちょっと違った生活を覗き見してみてはいかがでしょうか^^

 

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