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サマセット・モーム『月と六ペンス』あらすじ・感想

今回は名作として名高い、

サマセット・モームの『月と六ペンス』をご紹介したいと思います!

 

 

 

1.サマセット・モームについて

サマセット・モームは、イギリス出身の作家です。

実はこのサマセット・モーム

かなり特異な経歴を歩まれています。

 

実は、イギリスの元スパイ(諜報員)だったのです!

第一次大戦中の話ですので、

おそらくヨーロッパにはそういう方もたくさんいらっしゃったかと思いますが、

現代で「元スパイです。」って言われると、

かなりドキリとしますよね。笑

スパイでの経験を基にした作品も書かれていますので、

興味のある方は是非とも読んでいただければと思います^^

 

また現代では珍しいことでないですが、

同性愛者であったそうです。

イギリスでは第二次世界大戦後まで同性愛を禁じる法律がありましたので、

当時の状況の中で

公には同性愛者であることをカミングアウトされていないと思うのですが、

サマセット・モームが同性愛者であったことは

割と有名な話として語り継がれています。

 

作風としては、

ちょっとシニカルな部分もあるけれど、

ストーリーの構成が優れている作家さんだと思います!

「面白い作品でなけば、小説じゃない」というのが

サマセット・モームの信念です。

「面白い」という意味は色々な意味があるかと思いますが、

笑いが起こる、という意味ではなく、

読んでいて興味がわく、といった感じでしょうか。

激しい感情表現や事件などがあるわけではないですが、

冷静な描写の中にも、豊かな感情が読み取れるというか。

これこそ「ドラマだな」と思える小説を書く印象があります。

 

2.『月と六ペンス』のあらすじ

まず、『月と六ペンス』のあらすじをご紹介いたします。

ある夕食会でであった、冴えない男ストリックランド。ロンドンで、仕事、家庭と何不自由ない暮らしを送っていた彼がある日、忽然と行方をくらませたという。パリで再会した彼の口から真相を聞いたとき、私は耳を疑った。四十をすぎた男が、すべてを捨てて挑んだこととは––––。ある天才画家の情熱の生涯を描き、正気と狂気が混在する人間の本質に迫る、歴史的大ベストセラー(新潮文庫裏表紙より抜粋)

 

この『月と六ペンス』という小説は、

比較的、サマセット・モームが有名になり始めた段階で書かれた小説です。

物語に関しては、

画家・ゴーギャンの生涯に基に描かれたと言われています。

 

ゴーギャンと同時期の有名な画家は

ゴッホです^^

二人は一時期共同生活をしていました。

ゴッホの有名な『ゴッホの寝室』という絵は、

ゴーギャンを迎える準備をしていたときに

ワクワクした気持ちで描かれた絵だそうです^^

 

そして、ゴッホの有名な耳切事件があった直後、

ゴーギャンゴッホの元を離れました。

 

ゴッホに関する小説は、↓こちらでご紹介しておりますので、

興味のある方はこちらをどうぞ!

tomoe-reading.hatenadiary.jp

 

ゴッホゴーギャンに共通していることといえば、

同時期の流行している画風にとらわれることなく、

自分にしか表現できないもの、

「真実」を表現しようとしたが、

ご存命中には大きく評価されることがなかったという点。

日本ではゴッホの方が人気がありますが、

ゴーギャンの絵からにじみ出る情熱的なタッチや

南国を連想される多彩な色彩は、

ゴッホとはまた違った魅力があります。

 

『月と六ペンス』では、

ゴーギャンをモデルにしたストリックランドという主人公が亡くなった後、

友人がストリックランドのことを振り返りながら、

彼の足跡をたどって、最後の地を訪れ、

彼の本当の伝記を書いていく、という形で話が進めれらていきます。

 

3.『月と六ペンス』の感想

何気なく読んだ一冊でした。

特に意識することもなく読んだ本だったのですが……。

淡々とした文章の中に、

熱い感情があり、

豊かな気持ちの描写や

格言があり、

とても満たされた気持ちになりました。

 

ゴーギャンをモデルにした創作ですが、

主人公の志や不器用さ、

「目には見えない、真実」を探求することの苦しさ。

 

生きていくためにお金は必要だけれど、

それが本当に全てなのか。

豊かに見えるけれど、

それは本当に自分が求めているものなのか。

側から見れば、物質的に豊かには見えないけれど、

本当に豊かではないのか。

など、

目に見えるものだけが全てではなく、

他人の考えや世間体ではなく、

自分はどうやって生きていくか

自分は何を求めているのか

を考えさせられました。

 

また、ある一人の人物に関して、

様々な捉え方や印象があることが

とても印象的でした。

ある人について、自分が見ているのはたった一面にすぎない。

どんな面であっても、

その人に違いないし、

また、その人そのものではない。

ちょっと逆説的ですが、

その人の本質を見たい、知りたいと思ったとき、

その人にしっかりと向き合わなければなりません。

表面上の印象だけで判断してしまうと、

その人の面白い、興味深い一面を見失ってしまうかもしれません。

誰かと向き合うのは、

とても体力のいることです。

それでも、

私はきちんと向き合っていきたい。

相手のことをきちんと見ている人間でありたいと思いました。

 

言葉ではうまく表現できませんが、

何かとても大事なものを教えてくれる、

そんな小説です^^

 

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