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原田マハ『デトロイト美術館の奇跡』あらすじ・感想

美術作品に関する作品を多く書かれている原田マハさん。

今回は

原田マハさんの『デトロイト美術館の奇跡』という作品をご紹介いたします!

 

 

1.原田マハさんについて

原田マハさんについては、

こちらの記事で詳しく書かせていただいていますので、

興味のある方はご一読ください^^

tomoe-reading.hatenadiary.jp

 

2.『デトロイト美術館の奇跡』のあらすじ

まずは、『デトロイト美術館の奇跡』のあらすじをどうぞ!

ピカソゴッホマティスにモネ、そしてセザンヌ。市美術館の珠玉のコレクションに、売却の危機が訪れた。市の財政破綻のためだった。守るべきは市民の生活か、それとも市民の誇りか。全米で論争が過熱する中、一人の老人の情熱と一歩が大きなうねりを生み、世界の色を変えてゆく––––。 大切な友人や恋人、家族を想うように、アートを愛するすべての人へ贈る、実話を基に描かれた感動の物語。(本書裏表紙より抜粋)

 

この作品の題材になっている「デトロイト美術館」とは、

アメリカ・デトロイト市にある、

約6万点以上の美術品を所蔵し、

年間約70万人が訪れる人気の美術館です。

6万点以上の美術作品を所蔵するというのはものすごいことで、

日本の国立西洋美術館で約6000点。

年間200万人以上が訪れるMoMAニューヨーク近代美術館)で約10万点です。

美術品を買うにはかなりの財源が必要ですし、

管理・維持をするためにも有能な人員が必要です。

それだけ優れた美術館とも言えるでしょう^^

 

あらすじにもあるように、

2013年にデトロイト市の財政破綻に陥ります。

デトロイトといえば、

「自動車の街」ですよね。

しかし、時の流れとともに、

自動車産業も昔ほど勢いはなくなり、

工場で働く低収入層が多くなり、

失業率・犯罪率が上昇、暴動などが起こったりしていました。

結果、市の財政が破綻。

そこで目をつけられたのが、

デトロイト美術館が所蔵する名画の数々。

ニュースをご覧になる方は、

「◯◯の作品が何十億円で落札」など聞かれたこともあるかと思います。

有名な画家や人気の画家の作品には

億単位の価格が付けられることがあり得るのです。

美術作品が唯一の”資源”と思ったのも無理はないかもしれません。

 

そんな実話を基に書かれたのが、

今回ご紹介する『デトロイト美術館の奇跡』という作品です。

物語は、デトロイト美術館のキュレターとデトロイト市民の男性の視点で

進んでいきます。

合間合間に作品の写真やデトロイト美術館の写真が挿入されていて、

身近に感じるのも、この作品の良い点です!

 

3.『デトロイト美術館の奇跡』の感想

この作品で感じたことは、

芸術作品が果たす役割とは何か、ということです。

一般的に、

美術館は敷居が高くて、

わかる人にしかわからない、

行くのも勇気がいる場所、

という感覚が強いのではないかと思います。

でも、決してそんなことはなくて。

見る人が自由に楽しむものだと思うんです。

「何億円の絵画だからすごい」

「誰それが描いたものだからすごい」

のではなく、

「なんかわからないけど、綺麗」

「なんかよくわかんないけど、この絵好き」

みたいなことでOKだと思うんですよ。

 

この作品の中で

「この絵は私の友達」という言葉が出てきます。

「友達に会いに行ってくる」と言って、美術館に行く。

その感覚がとても心地よかった。

私が美術館に行く理由は、

「友達」に会いに行ってたんだ、と合点がいきました。

喋ってくれるわけではないけれど、

心を駆り立てられる作品がある。

はっきりとした言葉じゃなくても、

語りかけてくる作品がある。

そうか、みんな友達だったんだと。

 

 

お金的な価値ではなく、

多くの人の友達、つまり心のよりどころになっているものを守るために、

多くの人たちが心を一つにして動いていく。

この純粋な気持ちに、

心が揺り動かされました。

ただ単に歴史的な背景があるから大事だとか、

高価なものだから大事なわけではなく、

愛されるべき理由があるから大事なんだと。

そんな気持ちで世界が動いていくのは

とても気持ちが良い。

多くのことがそう単純には進まないだろうけど、

少しでも純粋な思いが届く世の中になれば良いなと思いました。

 

今の世の中に必要な一冊だと思います^^

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