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原田マハ『太陽の棘』あらすじ・感想

芸術作品に関する作品を多く書いていらっしゃる、原田マハさん。

今回は、原田マハさんの『太陽の棘』をご紹介いたします!

 

 

1.原田マハさんについて

原田マハさんについては、

こちらの記事で詳しく書いていますので、

興味のある方はこちらをご一読ください^^

tomoe-reading.hatenadiary.jp

 

2.『太陽の棘』のあらすじ

まずは『太陽の棘』のあらすじです^^

終戦後の沖縄。米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす集落––––ニシムイ美術村に行きつく。警戒心を抱く画家たちだったが、自らもアートを愛するエドは、言葉、文化、何よりも立場の壁を越え、彼らと交流を深める。だがそんな美しい日々に影が忍び寄る––––。実話をもとにした感動作。(本書裏表紙より抜粋) 

 

今回の作品は沖縄が舞台です。

芸術作品といえば、欧米の作家が中心に語られることが多く、

日本人芸術家はなかなかスポットライトを浴びることがありません。

それが、今回は沖縄が舞台であり、

現実にあった「美術村」の日本人画家たちということで、

原田マハさんがこの作品にかけた想いの強さを感じることができます。

 

なぜかといえば、

この沖縄の「ニシムイ美術村」というのは、

相当に芸術を勉強した方でないと知られることがないところ。

場所でいうと、

現在の沖縄県那覇市首里儀保町。

首里城のほど近くですね^^

 

沖縄などでニシムイの画家たちの展覧会があったようですし、

常設で展示されているところはありますが、

本土での展示は大々的に行われていないのではないでしょうか。

私も、この作品を読むまで、

「ニシムイ美術村」という存在も、

戦後の沖縄の様子も知りませんでした。

ちなみにこのニシムイ美術村の画家たちの活動もあり、

戦後沖縄において、芸術復興の運動が高まったようです^^

 

その方たちに光を当てた原田マハさんは、

本当に芸術やそれをめぐる人々の熱い想いを大事にされているんだな、

と実感しました。

 

また、沖縄というのは、

皆様ご存知のように、

戦争で大打撃を受けた土地であり、

戦後には米軍により統治されていた土地です。

でも、その内情はあまり語られません。

フィクションではあるものの、

沖縄の人たちの当時の姿を少しでも知るきっかけとなる作品となっております^^

 

3.『太陽の棘』の感想

結論から申し上げましょう。

大号泣いたしました。

原田マハさんの作品には、

大号泣させられることが多々あるのですが、

『たゆたえども沈まず』の次ぐらいに号泣したと言っても過言ではありません。

 

舞台が沖縄ということで、

明るい、前向きな気分になる、気持ち良さそうな風が吹くような描写が多く、

読んでいて自然と沖縄にいる気分になります。

でも、そんな風景の描写が

根本的に人間は完全には分かり合えないという事実を

対照的にまざまざと浮かび上がらせます。

本気で助けたいと思っても、

願っても、

手を差し伸べても、

本当に助けになるかどうかはわからない。

分かり合えたと思った瞬間、

分からなくなる。

そんな、人間としてどうしようもない、悔しい状況が描かれます。

あんなに信じていたのに、

分かりあえたと思っていたのに、

本当の友だと思っていたのに。

また、日本人として、

いや一人の人間として、

見るに堪えない、知りたくはない場面も描かれています。

戦争に負けるとはそういうこと。

また、弱い立場に置かれるとはそういうことなんだと、

実感させられます。

 

しかし、そんな中でも、

何かを信じる心や、思う心は変わりないんだなとも思います。

人間はいつも同じ状態ではいられない。

本当に分かり合えたと思っていても、

どこかで疑う気持ちもあったり、

完全に信じきれなかったり。

でも、本気で一度分かり合えたもの、信じ合えた縁は、

完全に切れることはない。

自分がその想いを大事に思っていれば、

それだけで生きる糧になる

 

悔しく、悲しい出来事もあるけれど、

また人間は完全には理解できないものだけれど、

だからこそ、誰かと特別な絆を結ぶことは尊く、

人生に光を与えてくれるものだな、と思いました。

 

また、私は表紙の絵が大好きです。

この表紙の絵に魅せられて、

この本を手に取ったと言っても過言ではないぐらい、

素敵な絵です。

是非「ニシムイ美術村」の画家が描いた絵を、想いを

手に取っていただけると私も嬉しいです^^

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