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京極夏彦『今昔百鬼拾遺 鬼』あらすじ・感想

私の大好きな小説家のお一人である、京極夏彦先生。

前回は、『豆腐小僧双六道中ふりだし』をご紹介いたしましたが、

今回は『今昔百鬼拾遺 鬼』をご紹介いたします!

 

 

 

 1.京極夏彦って?

京極夏彦先生に関しては、

こちらの記事で詳しくお伝えしておりますので、

興味がある方はこちらをご参照いただければと思います^^

tomoe-reading.hatenadiary.jp

 

2.『今昔百鬼拾遺 鬼』の概要・あらすじ

 今回ご紹介する『今昔百鬼拾遺 鬼』は

京極作品の中で『百鬼夜行シリーズ』と呼ばれるシリーズの

アナザーストーリーです。

百鬼夜行シリーズ』の主要登場人物は登場しませんが、

シリーズの雰囲気やシリーズ中に登場した人物や作中の話などがリンクしています。

もちろん、

百鬼夜行シリーズ』を呼んでいない方でも十分楽しんでいただけますが、

お読みになった方はより楽しめる&もう一度『百鬼夜行シリーズ』を読み返したくなると思います!

初めてこの作品を読まれる方も、

興味を持たれたらぜひとも『百鬼夜行シリーズ』も手に取っていただきたいです^^

 

また『百鬼夜行シリーズ』は

他にもいくつかサイドストーリーがありますが、

この作品の特徴は

百鬼夜行シリーズ』の新たなシリーズものの第一作目だということ。

この作品だけではなく、

『今昔百鬼拾遺 河童』

『今昔百鬼拾遺 天狗』

と続いていきます。

今までの百鬼夜行シリーズのサイドストーリー集である、

百鬼夜行 陰』や『百鬼夜行 陽』などは

主人公が本編の登場人物をより深堀していく短編作品群だったのですが、

今回ご紹介する作品は本編と並行する作品と感じました。

 

さらに、この『今昔百鬼拾遺シリーズ』で注目すべき点は

三か月連続で別々の出版社から刊行された作品だということ!

一つのシリーズが別の出版社から刊行されるというのは、

実は前代未聞のことです!

※ちなみに私は事前にきちんと出版社を把握しておらず……

購入するときに、永遠本屋さんの棚を行ったり来たり徘徊しつづけていました……笑

書店で直接ご購入される方は、

事前に出版社の確認をしておかれるとよいのではないかと思います^^

今回ご紹介する『今昔百鬼拾遺 鬼』は講談社タイガ

『今昔百鬼拾遺 河童』は角川文庫、

『今昔百鬼拾遺 天狗』は新潮文庫ですので

ご注意を!

※この度、鬼・河童・天狗が一冊になった『今昔百鬼拾遺 月』が発売されました!

一冊で楽しみたい方はこちらもおすすめです^^

 

また、従来の京極作品の中でも

ページ数は少なめ(一般的な小説のページ数ぐらい)ですので、

今まで京極作品にしたしまれたことがない方でも、

気兼ねなく手に取っていただける作品だと思います^^

 

それでは、『今昔百鬼拾遺 鬼』のあらすじをご紹介。

「先祖代代、片倉家の女は殺される定めだとか。しかも、斬り殺されるんだと云う話でした」昭和29年3奪、駒澤や球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪異と見える事件に不審を覚え解明に乗り出す。百鬼夜行シリーズ最新作。(本著裏表紙より抜粋) 

3.『今昔百鬼拾遺 鬼』の感想

ファンにとっては、久方ぶりの百鬼夜行シリーズということで、

アナザーストーリーではありますが、

とてもワクワクして読み進めました。

 

百鬼夜行シリーズ』の続編だと考えてしまうと、

往年のファンの方々はちょっと物足りない感じがするかと思うのですが、

この作品は、主人公が『百鬼夜行シリーズ』とは違う、というのがポイントで、

主人公の性格によって

推理の過程や踏み込み部分がライトになっているのではないかと思っています。

だからこそ、

違う作品として読むのが良いのではないかと。

その点に関しては

京極先生もインタビューで答えてらっしゃるので、

気になる方は参考にしてみてください^^

kadobun.jp

 

私はと言うと、

久々に百鬼夜行シリーズの世界観(戦後10年ぐらいの日本)に触れたのと、

生き生きとした、個性的なキャラクターたちに

魅了されました!

助走をつけて様子を見ながら作品と付き合っていく感覚ですね。

この作品で、ウォーミングアップをして、

次作の『今昔百鬼拾遺 河童』に入っていく、という感じ。

今まで長い間新作が出なかったシリーズ、ということもあって、

いきなりかますのではなく、

ご挨拶がてら、この作品をどうぞお読みください、

みたいな、顔見世作品だと感じました。笑

 

出てくる登場人物が本編中だと

あまりメインで扱われない人たちばかりなんですが

どんなキャラクターでも本当に魅力的で、

どこに出てきてもインパクトがある。

その人たちが生き生きと動いている様が、

より違った形で、本編を感じられるというか。

そして、自然と本編が読み返したくなるというか。

そういう文章表現が本当に巧みです。

 

 

そして、作品の中心人物が女性なのですが、

同じ女性として感じることは、

私も冒険してみたい!と思わされること。

殺人事件は嫌ですが(笑)

一人の人間として独立して活躍していくこと、

世間に一歩踏み込んでいくこと。

それは今の時代でもまだ難しいこともあったりします。

生物的にも男性とは違う部分もありますし、

未だに色々と難しいことに直面することもあります。

しかし、

主人公たちは、果敢なく挑戦していく。

そんな姿に応援せずにはいられません。

主人公の中禅寺敦子も、

兄の力を借りずに解決しようとしていく。

その姿がかっこ良いんです。

泥臭くもありますが、

こういう女性はかっこいいなと純粋に感情移入しました。

完璧じゃない様がまたいいんですよ。

そういう意味でも、楽しめる作品だと思います^^

こうやって主人公にあったストーリー展開ができる、

全く違った形の作品を書いていく、というのが

京極作品の魅力です。

 

まだ京極作品に触れたことがない方は、

是非ともこの作品からスタートしてみてください^^

 

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