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京極夏彦『豆腐小僧双六道中ふりだし』あらすじ・感想

私の大好きな作家の一人である京極夏彦大先生。

ものすごい知識量で、いつも驚かされます。

今回はそんな京極夏彦さんの『豆腐小僧双六道中ふりだし』をご紹介したいと思います! 

 

 

1.京極夏彦って? 

一言で京極夏彦をあらわすと。

妖怪」です。

作品も妖怪を扱ったものが多くありますが、

妖怪の画集を出されていたり、

水木しげるさんや荒俣宏さんと

「妖怪大学」なるものをされていたりも。

とりあえず「妖怪」なんです。笑

「妖怪の親玉」が水木しげるさんだとすれば、

京極先生は「妖怪の裏番長」みたいな感じですかね。

私見です※

でも妖怪という、一見目にはっきり見えないようなものを取り扱っているのに、

理論でバッサリいくところが大好きです。

 

そして、京極夏彦といえば

書籍の鬼」と言っても過言ではないぐらい、

ものすごい量の蔵書がおうちにある!

テレビで見た京極先生のおうちの書斎というか

もはや図書室というか

そのお部屋は圧巻でありました……。

 

そしてそして。

京極先生はとりあえず寝ないそうです。

ショートスリーパーだとインタビューでおっしゃっていました。

(ちなみに妖怪の大先生である水木しげるさんはロングスリーパー。)

↓「寝ない」インタビューはこちら!

 

なんだかここで挙げた特徴だと

ものすごい変な人、みたいな感じですが、

ものすごく凄い人です。

頭の中を覗いてみたい人ナンバーワンです。

 

2.『豆腐小僧双六道中ふりだし』のあらすじ

↑上にある、本書の表紙を見て「なんだこれ?」となった方も多いですよね。

彼が「豆腐小僧」、この作品の主人公です。

何なんですかね、このフォルム。

愛嬌があるというか、なんていうか。

妖怪って見た目怖いのが多いよね?だいたい。

でも、こいつ怖くないよね?

なんか見れば見るほど、じわじわ来るフォルムであります。

 

さて、そんな『豆腐小僧双六道中ふりだし』のあらすじです。

江戸郊外のとある廃屋に、いつのまにやら棲みついていた1匹の妖怪、豆腐小僧。豆腐を乗せた盆を持ち、ただ立ちつくすだけの妖怪である自分は、豆腐を落としたとき、ただの小僧になるのか、はたまた消えてしまうのか–––。思い悩んだ小僧は、自らの存在理由を求めて旅に出る!軽快な講談調で、小僧が出会う鳴屋(やなり)や死神、鬼火との会話の中から現れてくる妖怪論。妖怪とは、いったい何なのか?妖怪入門としても必読の痛快作!(本書裏表紙より抜粋) 

 

あらすじを読んでいただいた方はお分かりかもしれません。

豆腐小僧自身も「妖怪らしくない妖怪」という自分に

悩んでいるようです。

ただ難しい哲学書のような内容では一切ないのでご安心を!

「妖怪とはなんぞや」

というものを分かりやすく書かれています。

 

また、この本を題材にした、子供向けの作品やアニメも生まれました。

ですので、多くの方に楽しんでいただける作品となっております!

 

3.『豆腐小僧双六道中ふりだし』の感想

この作品は京極作品常連の方でも

京極作品初心者の方でもすごく楽しめる内容です!

何より、豆腐小僧が可愛い。

とにかく、可愛い。

私は読んでいて、とてもキュンキュンしました。

「こんな可愛いキャラも書けるの?先生……。すごすぎ。」

とものすごく感激しました。

本書をお読みくださると分かるのですが、

豆腐小僧は中身がない(存在理由がない、妖怪らしくない妖怪)んです。

だから、その事を体現しているかのように、

ちょっと抜けてるんですね。

それがまた可愛らしい。

様々な妖怪との出会いを通して、

冒険をしていき、

少しずつ成長していく豆腐小僧がとても愛おしく感じます。

 

私は『豆腐小僧双六道中』を読むまでに、

京極作品を数多読んできたのですが、

この文体は初めてで、

読んでいてすごく新鮮でした。

地の文(会話分以外のところ)が話口調ですので、

スルスルと頭に入ってきます。

もちろん、京極節(理論責め)は健在です!

それでも他の作品よりも

グンと読みやすいです。

妖怪を題材にした作品たくさん書かれていますが、

妖怪目線の話というのは、かなり珍しいです。

 

それでいて、

その他の京極作品同様、

色々な知識も得られるという。

なんともすごい作品です。

文庫本で700ページとちょっとという驚異のページ数ですが、

意外とさらっと読めます。

というか、ページをめくる手が止まらない、といったほうが良いでしょうか。

これも京極作品のすごいところであります。

 

皆様も豆腐小僧と一緒に旅をしてみてはいかがでしょうか?^^

 

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